
(※画像はイメージです)
静岡県東伊豆町にある熱川温泉は、街のあちこちから源泉の湯煙が立ち上る、昔ながらの風情を残す温泉地です。この温泉街の一角に、他の動物園や植物園とは少し異なる特徴を持った施設があります。それが今回ご紹介する「熱川バナナワニ園」です。
施設名を聞くと、ワニとバナナという組み合わせに疑問を抱く方もいらっしゃるかもしれません。この施設は、熱川温泉の豊富で高温な「温泉熱」を施設の維持管理に利用し、ワニの飼育や熱帯植物の栽培を行っています。昭和33年(1958年)の開園以来、長きにわたって運営されてきた歴史ある動植物園です。
最新の巨大テーマパークのような派手さはありませんが、独自の飼育環境と展示内容によって、ここでしか観察できない動植物が多く存在します。今回は、熱川バナナワニ園の施設としての特徴、飼育されている希少な動物たち、園内で提供されている飲食物、そして見学の際に知っておくべき注意点について、具体的にご紹介していきます。
- 歩き疲れにくい「ほどよい規模感」と温泉熱の活用
- 国内での飼育例が少ない希少な動物たち
- 日常に緑のインスピレーションを与える熱帯植物の造形美
- 園内で栽培されたバナナを使用したメニュー
- 温室を見学する際の注意点と服装
- まとめ
歩き疲れにくい「ほどよい規模感」と温泉熱の活用
熱川バナナワニ園の特徴を理解する上でポイントとなるのが、温泉熱の活用と、歩き回りやすい施設の規模感です。園内は大きく「本園(ワニ園・植物園)」と「分園」の2つのエリアに分かれており、それぞれで温度管理された環境が作られています。
広大な敷地を持つ動物園の場合、すべての展示を見て回るには丸一日がかりとなり、体力的な負担も大きくなります。高齢のご両親を伴った三世代でのご旅行などでは、移動距離の長さや歩き疲れに対する配慮が欠かせません。その点、熱川バナナワニ園は全体が非常にコンパクトにまとまっており、所要時間の目安はおよそ1時間半から2時間程度です。
この「広すぎない」という特徴は、長距離を歩き続ける身体的な負担を軽減し、途中で休憩を挟みながら、ご家族それぞれが無理のないペースで見学を続けられるという大きなメリットをもたらします。離れて暮らす親御さんとの久々の旅行でも、疲労を気にしすぎることなく、穏やかな思い出作りができる優しいサイズ感となっています。観光スケジュールの合間にも組み込みやすく、伊豆旅行の立ち寄りスポットとして非常に適しています。
距離が近く、多様な種類を観察できるワニエリア
施設の名前にもなっているワニですが、園内では世界中から集められた16種(交雑含む)、約140頭が飼育されています。ガラス面や柵からワニまでの距離が近く、大型の爬虫類を細部まで観察できる環境が整えられています。
温泉の熱を利用して水温が約30度に保たれているため、冬場でもワニたちが活動しやすい環境が維持されています。ワニと一口に言っても、鼻先が細長い種類、がっしりとした体格の種類など、骨格や鱗の形状は様々です。水中でじっと静止している姿や、日光浴をしている姿など、本来の生態に近い様子を落ち着いて観察することができます。
国内での飼育例が少ない希少な動物たち
熱川バナナワニ園では、ワニの他にも国内の動物園ではあまり見かけることのない希少な動物たちが飼育されています。
① 国内唯一の飼育「ニシレッサーパンダ」
動物園で広く親しまれているレッサーパンダですが、生息地によって「シセンレッサーパンダ」と「ニシレッサーパンダ」の2つの亜種に分類されます。日本の動物園で飼育されているレッサーパンダの多くは中国などに生息するシセンレッサーパンダですが、ヒマラヤ山脈周辺を本来の生息地とする「ニシレッサーパンダ」を飼育しているのは、国内では熱川バナナワニ園のみとなっています。
園内では十数頭が飼育されており、シセンレッサーパンダと比較すると、全体的に体毛の色が明るく白っぽいという身体的な特徴があります。午前と午後に設けられている食事の時間には、リンゴなどの餌を前足で掴んで食べる様子など、特有の動作を間近で観察することが可能です。のんびりとした愛らしい仕草は、見ているだけで心が和みます。
② 淡水に生息する「アマゾンマナティー」
本園の植物園エリアでは、アマゾンマナティーが飼育されています。マナティーの仲間の中で唯一、アマゾン川流域の淡水域のみに生息する種類であり、世界的な動物園・水族館においても飼育例が少ない動物です。
腹部に白い斑紋があるのが特徴で、現在飼育されている個体は半世紀以上にわたってこの園で生活しています。水槽内をゆっくりと泳ぐ姿や、時折水面に顔を出して呼吸をする様子など、その穏やかな動きは来園者に静かな時間を提供してくれます。

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日常に緑のインスピレーションを与える熱帯植物の造形美
動植物園としてのもう一つの柱である植物の展示も非常に充実しています。本園の植物園エリアの温室には、約5000種に及ぶ熱帯植物が植栽されています。ブーゲンビリアなどの色鮮やかな花木、自然が生み出したとは信じがたいほど複雑で美しい形状を持つ多種多様な原種ラン、そして温室内の水面を覆い尽くす熱帯性スイレンや、子供が乗れそうなほど巨大な葉を広げるオオオニバスなど、温度管理された環境ならではの植物が年間を通じて生育しています。
これらの植物展示は、ただジャングルを再現しているだけでなく、一つひとつの植物が美しく見えるよう丁寧に手入れされています。普段から観葉植物を好む方や、自然の造形美に惹かれる方にとっては、生き生きと葉を広げるシダ植物や、空中に根を張る着生植物の姿は、インテリアグリーンとしてのインスピレーションを与えてくれるかもしれません。静かな温室内で多種多様な植物の質感や色合いをじっくりと観察する時間は、動物エリアとはまた違った、深いリラックス効果をもたらしてくれます。
園内で栽培されたバナナを使用したメニュー
見学後の休憩スポットとして、分園にはフルーツパーラーが併設されています。熱川バナナワニ園では、温泉熱を利用した温室環境下で、約20種類のバナナを無農薬で自家栽培しています。収穫後、適切な温度管理のもとで追熟させたバナナを使用したメニューが提供されています。
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バナナパフェ 園内で栽培・追熟されたバナナを主体としたパフェです。市販のバナナに比べて香りが強く、果肉のねっとりとした食感とコクのある甘みが特徴です。アイスクリームなどと合わせて、素材の良さをシンプルに味わうことができます。
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バナナジュース バナナとミルクを合わせたシンプルな飲み物です。歩き回った後の水分補給と糖分補給に適しており、熟したバナナの自然な風味をそのまま味わうことができる定番のメニューです。
フルーツパーラーの店内からは、天候に恵まれれば伊豆の海や遠く伊豆大島を望むことができ、開放的な景色を楽しみながらゆったりと休憩をとることができます。

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温室を見学する際の注意点と服装
熱川バナナワニ園を見学する上で、一つ留意しておきたい点があります。それは「温室内の温度と湿度」に対する準備です。
施設の特徴である温泉熱の利用により、温室内は年間を通じて熱帯地方に近い気候が維持されています。これは植物の生育や動物の健康維持には不可欠な環境ですが、来園者にとっては注意が必要な環境でもあります。
冬場であれば外気との温度差によって暖かく感じられますが、初夏から秋口にかけての気温が高い時期は、外気温に加えて温泉熱と湿度が影響し、温室内はかなり蒸し暑く感じられます。ご高齢のご家族が同行される場合は、特に室内の熱気による疲労に配慮が必要です。
そのため、来園の際は以下の点にご注意ください。
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服装について: すぐに脱ぎ着をして体温調節ができる服装、または通気性が良く乾きやすい素材の衣服を選ぶことをおすすめします。
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持ち物について: 汗を拭くためのタオルを準備し、こまめに水分補給ができるよう飲み物を必ずご持参ください。
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見学のペース: 暑さを感じた場合や、少しでも疲労を感じた場合は無理をせず、一旦外の空気に触れる場所に出るか、冷房の効いた休憩所やフルーツパーラーを利用して、体調に合わせてこまめに休みながら見学を進めてください。
規模が大きすぎない施設だからこそ、体調管理に気を配りながら、自分のペースでゆっくりと動植物を観察するのが適した楽しみ方です。
まとめ
温泉熱という地域資源を活かして運営されている「熱川バナナワニ園」。多種多様なワニの展示、国内では珍しいニシレッサーパンダやアマゾンマナティーの飼育、そして温室で丁寧に育てられ、鑑賞や食として楽しめる植物やバナナなど、この場所ならではの要素が詰まった施設です。
広大なテーマパークとは異なる、歩きやすく落ち着いた規模感は、世代を問わず自分のペースで楽しむことができるという魅力を持っています。伊豆の温泉や景色を楽しまれる際には、このユニークな動植物園にも立ち寄り、独自の生態展示をゆっくりと観察してみてはいかがでしょうか。