
美味しい食材の宝庫として知られる青森県。リンゴや大間マグロなどの海鮮が全国的に有名ですが、実は「長いも」の生産量でも全国トップクラスを誇る農業大県です。そんな青森県の肥沃な土壌と厳しい自然環境が育んだ、知る人ぞ知る極上の根菜があるのをご存知でしょうか?
それが、今回ご紹介する幻の山の芋「もちとろろ」です。
近年、テレビ番組や雑誌などで取り上げられたことで、全国のグルメファンや健康志向の人々から熱い視線を集めています。しかし、その生産量の少なさから、一般的なスーパーマーケットではめったにお目にかかることができない、まさに「幻」と呼ぶにふさわしい逸品です。
この記事では、「もちとろろってそもそもどんな芋?」「どんな歴史や特徴があるの?」「どうやって食べると一番美味しい?」といった疑問から、実際に食べられるお店や購入方法までを詳しく解説します。毎日の体調管理や、栄養価の高い食事に関心がある方にもぴったりの食材ですので、ぜひ最後までお読みください!
- 1. そもそも「もちとろろ」ってどういう芋?
- 2. 「もちとろろ」の歴史と特徴:なぜ「幻」と呼ばれるのか?
- 3. どういう料理に合うの?魅力を引き出すおすすめの食べ方
- 4. どこで食べられる?買うことはできる?
- まとめ
1. そもそも「もちとろろ」ってどういう芋?
「もちとろろ」は、青森県つがる市の車力(しゃりき)地域を中心に栽培されている、やまのいも(山の芋)の一種です。
農業試験場での正式な品種名としては、青森県内で開発された「つくなが1号」として登録されています。この品種は、青森県産の上質で旨みたっぷりの「長いも」と、石川県特産の強烈な粘り気を持つ「加賀丸いも(つくねいも)」を掛け合わせて誕生しました。両者の良いところだけを凝縮した、まさにエリート同士のハイブリッド品種と言えます。
外見はゴツゴツ・でこぼことしており、決して洗練されたスマートな形とは言えません。しかし、その無骨な皮をむくと、まるで雪のように真っ白でキメ細かい美しい果肉が現れます。見た目の不器用さと、食べたときの感動的な美味しさのギャップも、もちとろろが多くのアリピーターを惹きつける大きな魅力となっています。
2. 「もちとろろ」の歴史と特徴:なぜ「幻」と呼ばれるのか?
では、もちとろろにはどのような歴史があり、どんな特徴を持っているのでしょうか。
驚異の「粘り」と濃厚な「甘み」
最大の特徴は、その名の通り「お餅」を思わせるほどの圧倒的な粘り気と弾力です。すり鉢ですりおろすと、なんとすりこぎ棒やお箸で塊のまま丸ごと持ち上げられるほどのもっちり感があり、天然の自然薯(じねんじょ)にも匹敵すると言われています。 また、一般的な長いもと比べて水分が少なく、細胞がギュッと密に詰まっているため、口に入れた瞬間に広がる山の芋特有の濃厚な旨みと、力強い甘みがたまりません。
11年の歳月をかけた「幻の山の芋」
もちとろろが「幻」と呼ばれるのには明確な理由があります。それは、栽培の難しさと生産者の圧倒的な少なさです。 青森県の農林総合研究センターで1997年から試験が始まり、この新しい品種の栽培方法を確立して2008年に品種登録されるまで、生産者と研究者は約11年もの長い歳月をかけて試行錯誤を繰り返しました。長いもと比べて芽が出るのが遅く、栽培に非常に手間がかかるため、現在でももちとろろを本格的に生産している農家はつがる市の「Michiki農園」などごくわずかです。市場に出回る絶対量が非常に少ないため、希少価値が高くなっています。
過酷な自然が育んだ「屏風山砂丘」の恵み
栽培地であるつがる市の「屏風山(びょうぶさん)」地域は、日本海からの猛烈な潮風と飛砂を防ぐために植えられた防風林が、まるで屏風のように連なる場所です。かつては農作物が育たない不毛の湿地帯でしたが、200年以上もの長い時間をかけて先人たちが血のにじむような開拓を続け、水はけの良い特有の砂地へと生まれ変わりました。この水はけの良さと、昼夜の寒暖差が大きい厳しい気候こそが、でんぷん質をたっぷりと蓄えた極上の「もちとろろ」を育む最高の環境となっているのです。
3. どういう料理に合うの?魅力を引き出すおすすめの食べ方
もちとろろは、その強い粘り気と豊かな風味を活かして、生でも加熱しても美味しくいただける万能食材です。
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王道の「とろろ汁(麦とろご飯・お蕎麦)」 まずはすり鉢ですりおろして、生で味わってみてください。ただし、そのままではお餅のように粘りが強すぎてご飯と混ざらないため、お好みのだし汁で「2倍程度」に薄めて伸ばすのが最大のポイントです。なめらかに伸びた濃厚なとろろを、熱々の麦ご飯や冷たいお蕎麦にたっぷりとかければ、するすると喉を通り、疲れた体にもスッと吸収されていくような極上の味わいが楽しめます。
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ふわふわ・サクサクの「磯辺揚げ」と「もちとろろ団子」 すりおろしたもちとろろをスプーンですくい、海苔で巻いて油でサッと揚げる「磯辺揚げ」は、外はサクッと、中はトロッとした食感が絶品です。また、そのまま丸めてお鍋や汁物の具にする「もちとろろ団子」もおすすめ。とろろの状態から加熱することで、まるではんぺんやお餅のようなフワフワ・モチモチとした食感に変化し、生とは違った美味しさを堪能できます。
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生産者イチオシ!「もちとろろピザ風焼き」 地元農家の方もおすすめする、お子様にも大人気の食べ方がこちら。サラダ油をひいたフライパンに、すりおろしたもちとろろを薄く伸ばして火にかけ、その上から細切りのチーズをパラパラと乗せて香ばしく焼き上げます。山の芋の和の旨みと、チーズの洋のコクが見事にマッチし、立派なおかずにはもちろん、ビールや日本酒など晩酌のお供にも最高の一品です。
4. どこで食べられる?買うことはできる?
これほど魅力的なもちとろろ、実際に食べてみたい、買ってみたいと思った方も多いはずです。
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飲食店や実店舗で味わう・買うなら もちとろろは生産量が少ないため、提供している飲食店は限られています。しかし、青森県青森市にある道の駅「なみおか(アップルヒル)」の中にある店舗「たこ飯 こころ」などでは、もちとろろの販売や、関連商品を取り扱っていることがあります。青森を訪れた際のドライブの目的地として立ち寄ってみるのもおすすめです。 また、収穫時期になると、青森県内のスーパーマーケット「カブセンター」や、「つがる市農産物直売所」などの店頭に並ぶこともあります。
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秋掘りと、雪下で熟成させた「春掘り」 もちとろろの収穫は、葉が枯れ落ちる11月中旬ごろからの「秋掘り」が基本です。みずみずしい美味しさが特徴ですが、実は半量をそのまま雪の下の畑で越冬させ、雪解けを待って翌年4月ごろに収穫する「春掘り」も存在します。厳しい冬の寒さを耐え抜くことででんぷんが糖に変わり、さらに濃厚な甘みが引き出された春掘りも非常に人気があります。
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遠方からの購入は「お取り寄せ」や「ふるさと納税」が確実 青森から遠く離れた地域にお住まいの方が手に入れるには、インターネットでの「お取り寄せ(通信販売)」が最も確実です。もちとろろのメインの栽培を手掛ける「株式会社Michiki農園」の公式オンラインショップや、特産品を扱う「株式会社あおもり白神水産」の通販サイトを通じて購入することが可能です。 また、青森県つがる市の「ふるさと納税」の返礼品としても採用されており、真空パックで小分けにされた便利なセットなどを選ぶこともできます。収穫時期に合わせて予約販売が行われることが多いので、秋口からこまめにサイトをチェックしておくことをおすすめします。
まとめ
青森県が誇る幻の山の芋「もちとろろ(つくなが1号)」。その名の通り、お餅のように粘り強く、濃厚な旨みと甘みを持つこの芋は、生産者の長年の情熱と、青森の厳しい自然が生み出した奇跡の食材です。
山の芋には、消化を助けるアミラーゼなどの消化酵素や、腸内環境を整える食物繊維、余分な塩分を排出するカリウムなどのミネラルが豊富に含まれています。日々の体調管理や、スポーツ・ランニングなど運動後のスタミナ回復にも非常に役立つ素晴らしい食材です。
美味しいだけでなく、体にも優しい「もちとろろ」。スーパーで見かけたり、お取り寄せする機会があれば、ぜひその驚きの食感と極上の風味を、ご自身の舌で確かめてみてください!