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閉山中の富士山でなぜ死亡事故が起きる?登山のルールと罰則を解説していきます


毎年ニュースで報道される、冬季・閉山中の富士山での遭難や滑落事故。 「閉山中なのになぜ登るの?」「そもそも山に入っていいの?」と疑問に思う方も多いのではないでしょうか。

夏の富士山は初心者でも登れる親しみやすい山ですが、閉山中の富士山は「日本で最も危険な雪山」へと牙をむきます。

今回は、なぜ閉山中の富士山で悲惨な事故が起きるのか、山の状態やルール、罰則の有無について解説していきます。

🥶 閉山中の富士山はどんな状態?気温や環境について

夏の富士山しか知らない人にとって、冬〜春の富士山の環境は想像を絶する世界です。

  • 気温は極寒の「-20℃〜-30℃」: 山頂付近の気温はマイナス20℃を下回ることも珍しくありません。さらに富士山は独立峰(周りに風を遮る山がない)ため、秒速20m〜30mという台風並みの強風が常に吹き荒れます。風速が1m強まるごとに体感温度は1℃下がるため、体感温度は-40℃以下になることもあります。

  • 山全体が巨大な「氷のすべり台(ブルーアイス)」: 雪が強風で吹き飛ばされ、一度溶けた雪が再び凍りつくことで、斜面全体がカチカチの氷の塊(ブルーアイス)になります。まるで傾斜角30度〜40度の巨大なスケートリンクです。

  • 山小屋・トイレは一切なし: 当然ですが、山小屋はすべて雪の重みで壊れないよう厳重に板打ちされて閉鎖されており、トイレも自動販売機もありません。逃げ込む場所は山頂から麓まで一つもないのです。

⚠️ なぜ滑落や死亡事故が後を絶たないのか?

そんな過酷な環境で事故が起きる最大の理由は、「一度滑ったら絶対に止まらないから」です。

アイゼン(靴につける鉄の爪)やピッケル(氷の斜面に刺す杖)といった本格的な冬山装備をしていても、突風にあおられたり、一歩足を踏み外して氷の斜面で転倒したりすると、加速しながら数百メートル下まで一気に滑り落ちてしまいます。

硬い氷の上では、ピッケルを刺して止まる「滑落停止」という技術すらほぼ通用しません。そのまま岩肌に激突してしまうため、ちょっとしたミスが即座に「死」に直結してしまうのです。

🧗 そもそも閉山中にも登山はできるの?

「閉山」という言葉から、山全体に鍵がかかっているイメージを持ちますが、物理的に山全体をフェンスで囲うことはできないため、物理的な入山は可能です。

国や自治体のガイドラインでは、「万全な準備をしない登山者の夏山期間以外の登山は禁止(原則として自粛要請)」とされています。 つまり、「絶対に登ってはいけない」という完全な法律上の禁止事項ではなく、「プロレベルの知識、経験、装備があり、厳格な登山計画書(登山届)を提出した一部の熟練アルピニストであれば、自己責任において入山を認める」というスタンスになっています。

しかし近年は、その「万全の準備」を持たない外国人観光客や、スキル不足の登山者が安易に立ち入り、事故を起こすケースが増加し社会問題化しています。

👮 登った場合の「罰則」やペナルティはあるの?

現状、「閉山中の富士山に登ったこと自体」を直接裁いて逮捕する法律はありません。 しかし、だからといってペナルティがないわけではありません。

  1. 条例違反による罰則: 静岡県・山梨県では「安全登山条例」が定められており、閉山中に「登山届」を提出せずに立ち入った場合は、条例違反として罰則(過料など)の対象になります。

  2. 建造物侵入や道路法違反の可能性: 閉鎖されている登山道のバリケードを無理やり突破したり、閉まっている山小屋の敷地内に勝手に入ったりした場合は、道路法違反や軽犯罪法違反、建造物侵入などに問われる可能性があります。

  3. 高額な救助費用: 遭難した場合、警察や消防のヘリコプターが救助に向かいますが、冬の富士山は強風で公的ヘリが飛べないことが多々あります。その場合、民間の救助隊やヘリをチャーターすることになり、数百万円単位の高額な救助費用が全額自己負担としてのしかかります。

🌸 まとめ

閉山中の富士山は、息を呑むほど美しい白銀の姿を見せてくれますが、その内側は「ちょっとしたミスで命を落とす、日本で最も過酷な雪山」です。

法的な罰則が厳しいから登らないのではなく、「自分の命を守るため、そして危険を冒して救助に向かう隊員の方々の命を守るため」に、安易な入山は絶対にやめなければなりません。